まだまだ残暑の厳しい日が続きますが、皆様はお変わりなくお過ごしのことでしょうか。
私自身はありがたいことに毎日忙しく過ごさせていただいているおかげで、8月も終わってしまうことに今更ながらに気付きようやくブログを更新している次第です。
さて、連載しているものも終盤です。引き続き65歳からの栄養のことについて学んでいきましょう。
「摂食嚥下障害はどう診断・治療する?」
・摂食嚥下障害は、例えば血液検査の数値を持ってここからが障害と診断できるものではなく、また、飲み込むところを直接外から観察することも出来ません。そこで、質問用紙による摂食嚥下障害のスクリーニング、咀嚼機能や嚥下機能のスクリーニング検査、X線による嚥下造影検査、嚥下内視鏡検査、食事場面の観察などから評価して総合的に判断します。つまり診断方法に決まりがない事がポイントです。食形態や飲み物のテクスチャーを調整しないといけない状況の人は、その時点で摂食嚥下障害といえます。
摂食嚥下リハビリテーションはどう安全に食べるかを訓練する治療法です。機能回復を目的に嚥下関連筋の筋トレと、摂食嚥下運動を反復する促通訓練(感覚刺激訓練)を行いますが、そのほとんどは脳卒中の摂食嚥下障害で研究され実績を出しているものです。
こうした訓練は脳の可塑性が期待できる人には適している一方、そもそも指示が入らないような人(例えば認知機能が低下している人)には難しく、高齢者の場合には栄養強化と全身の活動が大切で、全身のサルコペニアに対するアプローチが鍵になります。
「摂食嚥下障害の主な治療法」
・口から安全に栄養摂取するための訓練
→摂食嚥下リハビリテーション(食べ物を用いる直接訓練(摂食訓練)と、用いない間接訓練(基礎訓練)があります。)
・咽喉頭や食道など機能障害が起こっている部位の手術治療
・経管栄養法(経鼻、胃ろうなど)
これらが主な治療法になります。
誤嚥や窒息のリスクを最小限にするために行う工夫で、飲み込む時の姿勢調整、食形態の調整、食事のスピード・一口量の調整などが挙げられます。嚥下機能レベルや症状に応じて組み合わせて行う必要があります。