最近では暖かな日が続き、桜も咲き誇りいよいよ春が訪れたと感じる今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
「高齢者における栄養」についての連載も昨年の9月からスタートして、早いもので半年以上が経過しました。何事も継続するというのは大事ですね。では今回も続きを始めていきましょう。
「あんぱんと牛乳の組み合わせは最強だった!」
食欲や口腔機能の低下などによって1回の食事量が減ってきたという人は、間食の回数を増やして1日のエネルギー摂取量を補うようにしましょう。間食にはエネルギーとタンパク質を摂取できる乳製品・卵・豆類がおすすめ。(間食が増える分、虫歯リスクはアップ!都度の歯磨きは忘れずに!)油を多く含みエネルギーの確保ができるクッキーやチョコレート、パンも適しています。
例えば、普段のおやつを「煎餅とお茶」から「あんぱんと牛乳」の組み合わせに変えるだけでも栄養価はかなり変わります。牛乳は脂質が多くカロリーが高いうえにタンパク質やビタミンDが摂れ、水分補給にもなります。あんの原料である小豆にはたんぱく質が豊富に含まれています。
間食によって血中のアミノ酸濃度の変動が抑えられる(食事と食事の間にアミノ酸濃度が下がらない)とたんぱく質合成能も高くなるので、この組み合わせのおやつは高齢者にとって最強と言えるのです。
「地中海食で健康増進を」
近年、n-3系、n-9系の油を上手に摂れる地中海食が注目されています。地中海食はイタリア、ギリシャ、スペインなどの地中海沿岸の国の人が食べている伝統的な料理のことで、肥満を予防・改善するダイエット関連のワードとして目にすることも多くなりました。
地中海食の定義は広く、特徴としては加工度を最小限にとどめ、その地域でとれた旬の新鮮な食材を使った料理であること。魚介類やオリーブオイル、ナッツ類などを多用し、赤身肉の使用と加糖(菓子)を減らして、植物性食品が豊富に摂れるような食事パターンになっています。
地中海食は死亡率の低下や、心血管疾患、がん、アルツハイマー病などの発生率の低下との関連が多数報告されています。複雑な調理手順がなく、入手の難しい食材や特別な調理器具も必要としないので、日常の食事に気軽に取り入れてみてはどうでしょうか。
『地中海食の特徴』
・果物や野菜、オリーブオイル、ナッツ類、豆類、未精製穀物を毎食使用。
・乳製品や肉よりも魚を多く使う。(牛肉、豚肉、菓子は月に数回程度)
・食事と一緒に適量の赤ワインを飲む。
「高齢者も運動で筋肉量を増やそう」
フレイルやサルコペニアは筋肉が減っていく、または筋肉のパフォーマンスが落ちている病態。その予防・改善にはたんぱく質摂取と合わせて「運動」が重要です。運動には大きく分けて、散歩などの有酸素運動、筋肉に負荷をかける動作を繰り返し行うレジスタンス運動(筋トレ)、ストレッチング・体操がありますが、高齢者には難しいと思われがちな筋トレも、階段昇降や椅子立ち上がりなどの工夫の仕方によっては十分実施が可能です。中でもおすすめは、腰を落とした四股(しこ)の姿勢。下半身(大腿部・臀部)の大きい筋肉と体幹のバランスを鍛えることができて転倒防止につながります。運動習慣は生活習慣病にも効果的です。