爽やかな五月の風を感じ、日々が心地よく感じられるこの頃、皆様はいかがお過ごしでしょうか?夜はまだ冷える時もありますので寒暖差による体調の変化にはご注意ください。
先日、当院に関わってくださっている業者様へのお礼と今月から新しく入社する方の歓迎会を兼ねた懇親会を行いました。その際に業者様方からサプライズで当院スタッフの写真をプリントしたケーキをいただきました🤗スタッフも大変喜んでくれてとても有意義な時間を皆で過ごすことが出来て、本当によかったです。これからも当院に関わってくださる皆様に還元していけるように日々の診療を大切におこなっていきたいと改めて感じることが出来ました。
さて、これまでは高齢者の健康維持に必要な栄養素や、栄養不足による全身への影響について取り上げ、食事の大切さを述べてきました。健康長寿に結びつくキーワードの一つとして、現在歯科領域では「オーラルフレイル」という新しい概念についての啓発活動が展開されています。今回は高齢者の栄養状態と強く関連する口腔機能の維持について考えます。
「フレイルとオーラルフレイルの関係」
・オーラルフレイルはフレイル予備軍?!
歯の喪失防止から健康長寿を支える「8020運動」に続く新たなコンセプトとして、「オーラルフレイル」の啓発活動が盛んに進められています。オーラルフレイルは老化に伴う口の様々な機能の衰えが最終的に食べる機能の障害につながるというプロセス全体を示す大きな枠組みで、全身のフレイルやサルコペニアを引き起こす要因として口腔機能に維持・向上の重要性を示した概念です。実際、オーラルフレイルの高齢者は全身のフレイルに移行するリスクが高くなることなどが、これまでの研究で明らかにされています。
「適切な対応で機能回復を図ろう」
オーラルフレイルは、口の健康に対する関心の低下や、口のささいなトラブルから始まり、次第に食べる機能自体が低下したり食事摂取量が低下していきます。進行すると低栄養や摂食嚥下障害になるリスクが高まるだけでなく、ひいては要介護の原因にもなります。しかし一方で、オーラルフレイルもフレイルと同様に意識的に介入することで、早い段階であれば失われつつある口腔機能を改善することが可能です。
悪化して望まない結果につながらないように、見逃されやすい症状に早めに気づき、対応することが求められます。
「オーラルフレイルの始まりはさまざま」
高齢者ケアは、重症度によって病気の治療法が決まるような1つのシナリオに沿った画一的なものではなく、様々な側面を包括的に評価して個別にアプローチするというのが基本です。オーラルフレイルも、自分の歯が少ない、硬い食品が食べづらい、むせやすい、食べこぼす、口が乾く、舌の力が弱い、滑舌が悪くなった、などの口の些細なトラブルから評価していき、それらが積み重なった状態に進むと「口腔機能低下症」としてその人に合った治療が開始されます。
「硬めの食品で噛むトレーニングはできる?」
噛めない食品が増えて柔らかいものばかりを食べていると、ますます噛む力が低下するという悪循環が生じやすくなります。では、噛む力が落ちている人も頑張って硬いものを食べてトレーニングする方が良いのかというと必ずしもそうとは言い切れません。噛める硬さの食品を食べることはとても大事ですが、同時にむせなどの症状があれば窒息の危険性があります。少なくとも噛む訓練は摂食嚥下の専門家の指示のもと行うようにして下さい。すでに必要なタンパク質やエネルギーが十分に摂れていない状態と判断された場合には、多くはONS(経口栄養補助食品)による栄養サポートなどが行われます。