日が暮れる時間が早まってきたり、涼しい風を感じる事も増えてきましたね。徐々に秋の訪れが近づいていることを感じるようになってきた今日この頃です。
皆様お変わりなくお過ごしでしょうか?
季節の変わり目に体調崩されぬように、皆様ご自愛下さい。
今回のテーマはズバリ「65歳以上の方々の栄養について」です。
近年「食と健康」の関わりが注目されるようになってきております。
来院された患者様のお口の中を拝見させていただいていると、時折栄養状態が心配になる患者様とお会いすることがあります。
口の健康を担う我々歯科医師・歯科衛生士だからこそ「食べること」を通じて全身の健康維持に関与出来ることも多いのです。
今回も連載形式で、テーマ毎に何度かに分けて発信していきます。
普段、私(35歳)を含めた働き盛りの世代の方たち(壮年期・中年期)は、高血圧・糖尿病・脂質異常症・心臓病・脳卒中などの生活習慣病を予防するために、減塩、低脂肪、低糖質といったいわゆる「制限」重視の食事を心がけ、一般的にそれを良い食事としていることが多いのではないでしょうか。
そうした食事が必要になるのは65歳以下の人々(壮年期・中年期)であって、65歳以上の人々にとって必要な食事とは「老化現象以上に身体の機能を落とさないような食事」
つまりフレイルを止めたり改善したりする食事の事を言います。
大事なのはタンパク質とエネルギーをしっかり摂取するということ。
(腎臓病で厳密に食事療法をしている場合を除く)
ところが、高齢になると活動量の低下や病気・治療の影響のほか、加齢による様々な要因が重なり食欲不振という現象が起きています。
病的なもの以外の食欲不振には大きく二つの要因があります。
一つは感覚機能の低下です。感覚器は50代から徐々に機能が落ち始め、高齢者になると味覚・嗅覚が顕著に低下します。それによって閾値が上がり、美味しいと感じにくくなるのです。どの味覚の閾値が上がりやすいか一貫した研究結果は出ていませんが、塩味(えんみ)は分かりやすく気付く人も多くいます。家族に塩辛いと指摘されても自覚出来ないというのも加齢の症状です。
もう一つは文化的な刷り込みです。
高齢者は腹八分目くらいでちょうどいい、脂っこいものや味の濃いものは避ける、肉より魚、など科学的な裏付けのない刷り込みで、本当はもっと食べたいのに食事量が制限されていることがあるのです。
次回は高齢者が陥りやすい「低栄養」について述べていきたいと思います。