長かった冬もようやく終わりが見えてきましたね。最近はまさに三寒四温といった日が続いており、待ちに待った春があともう少しで訪れようとしている今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回も引き続き65歳以上の方々の栄養についての連載を続けたいと思います。
『ビタミンDはどう摂取すればいい?』
摂取量の目安はどのくらいなのでしょうか?ビタミンDの1日の摂取目安量は8.5μg。脂溶性ビタミンは体内に蓄積されやすいため100μgを上限としていますが、日常の食事で摂りすぎる心配はほとんどありません。食事で充分に摂取できない場合にはサプリメントなどで補うと良いでしょう。ビタミンDはカルシウムの吸収を調節したり、骨の代謝を活発化したりする働きがあるほか、筋力や身体機能にも関連していて、不足すると転倒や骨折のリスクが高まります。フレイルやサルコペニア、骨粗鬆症の人は、健常な人と比べてビタミンDの血中濃度が著しく少ないことが知られており、最近では骨粗鬆症(オステオポロネーシス)とサルコペニアが併存したオステオサルコペニアという概念も注視されるようになってきました。
ビタミンDが多く含まれている食品には魚介類(ビタミンD3)、キノコ類(ビタミンD2)などがあります。100gあたりの含有量は、紅鮭(焼き)で38.0μg、うなぎ(蒲焼)で19.0μg、干し椎茸で17.0μg。卵や乳製品にも少なからず入っており、牛乳なら1杯200gとして0.6μg摂取することが出来ます。ビタミンDは日光(紫外線)を浴びることで皮膚でも生成されるので、高齢者に活動度を高める動機付けとして外出を促すことはとても有効です。
『油の種類と機能の話』
油は主成分である脂肪酸の組成によって性質が変わります。
n-3(オメガ3)系脂肪酸、n-6(オメガ6)系脂肪酸、n-9(オメガ9)系脂肪酸は機能性を持った脂肪酸で、このうちn-3系とn-6系は食事から摂らなければならない必須脂肪酸。それぞれ違う働きをするn-3系とn-6系は摂取するバランスが重要で、1:4の比率が望ましいとされています。油をうまく摂るコツとしては、n-3系のa-リノレン酸は熱や光、空気で酸化しやすく、高温での調理には向かないため、サラダなどにかけて食べるのがおすすめです。DHAやEPAはサプリで補うのも良いでしょう。
逆にn-9系は抗酸化成分が多く酸化しにくいので、加熱料理にも向いています。
n-6系のリノール酸は加工食品などにも含まれており、気づかないうちに過剰摂取にならないように注意が必要です。高齢者の食事ではまずエネルギー確保が大前提です。脂っこいものが苦手という人は、比較的胃もたれしにくいMCTオイル(中鎖脂肪酸)などを使って油を摂取するようにしましょう。