「酸蝕症」とはまだまだ一般的には耳馴染みがあまりない言葉かもしれません。
簡単に言えば、「酸」によって歯のエナメル質が溶けてしまうことを言います。
一度溶けてしまったエナメル質は戻りません。そのため大切なエナメル質が溶けてしまわないようにする為にエナメル質をケアし、酸蝕症から歯を守る方法を知ることが大切です。
当院ではエナメル質の短期集中トリートメントケアコースもありますので、参考にしていただければ幸いです。
「酸」と言えば、とても強力なものをイメージされるかもしれませんが、決してそうではありません。日常生活の中に「酸」はとても多く潜んでいるのです。
例えば普段から口にする食べ物や飲み物に含まれる「酸」によっても酸蝕症は起こりうるのです。
健康に良いとされる「お酢」「果物」「フルーツジュース」「サラダドレッシング」にも含まれます。
例えば「健康のために」と飲んでいるお酢が身体にとっては良いものでも、歯にとっては酸蝕症のリスク因子になるという事です。
酸が歯に接触すると、硬いエナメル質の表面は一時的に軟らかくなり、歯や歯ブラシや舌で触れただけでもエナメル質がダメージを受けやすくなります。
ブラッシングの時に力を入れすぎると、食べ物や飲み物に含まれる酸によるエナメル質への影響を助長してしまいます。酸性の食品を口にした後は、エナメル質が最もダメージを受けやすい状態になるため、特に注意が必要です。
大前提として、お食事後すぐにブラッシングをしていただく事はとても大事です。
しかし、お口の中が酸性の環境にある場合などではすぐにブラッシングをせずに、お口をゆすいだり、30分程時間をあけてからブラッシングをするようにしましょう。
他には酸性に傾いているお口を中和させるのに、チーズを食べると良いとも言われています。
また、酸性の薬剤の服用、胃酸の逆流も酸蝕の原因となります。
酸蝕から歯を守る第一歩として、まず酸蝕歯とは何か、酸蝕歯の原因、ムシ歯との違い、予防方法を理解しましょう。
酸蝕症による影響として5つのことが挙げられます。
- 歯が黄ばむ:エナメル質が著しくすり減ると、その下にある黄色味を帯びた象牙質が見えやすくなります。
- 光沢を失う・変色する:エナメル質がすり減った歯は光沢を失い、くすんで見えます。
- 半透明〜透明になる:エナメル質損耗がさらに進行すると、目で確認出来るほどエナメル質が薄くなることで、歯の先端が透けて見えます。
- シミる:歯を保護しているエナメル質がすり減ったことで、その下にある象牙質が露出し、知覚過敏の症状を引き起こします。
- 先端が丸みを帯びる:歯の先端は最も酸蝕が起こりやすい場所です。
これらに当てはまる方は歯を守り、強化して、酸蝕症の進行を阻止することが重要です。
酸蝕症に対しての対策としては、
❶まずは、かかりつけの歯科医院にてお口の状況をチェックしてもらう。
❷普段の食生活の中で酸性の食品を避ける必要はありません。
しかし、酸性のものを食べる頻度や回数を見直しましょう。
酸性のものを食べる時は、チーズや牛乳などを一緒にとるようにするのも効果的です。
また間食の回数を減らすことも大事な事です。
❸酸性の飲み物を飲む際はストローを使用する。
また口の中に溜めない事も大事です。
❹歯質を強化するフッ素配合の歯磨剤を使用し、1日に3回はブラッシングするように心がけましょう。歯を磨く際には硬すぎる歯ブラシは避けましょう。
ご自身のお口に合った硬さの歯ブラシを使用することも大切な事なので、かかりつけの歯科医院の担当衛生士さんなどに聞いてみるのも良いでしょう。
酸蝕症を過度に恐れる必要はありません。正しい知識を身に付け、美味しく愉しい食生活を送っていきましょう。https://www.youtube.com/watch?v=Hjg4amWCAdU&t=39s