皆さんこんにちは。
北浜8020デンタルクリニック院長の松本 公佑です。
今回は緑茶に含まれるカテキンが虫歯抑制に対して効果があることが立証されたという論文を紹介したいと思います。
東北大学は6月4日、緑茶に含まれる主なカテキンのエピガロカテキンガレート(EGCG)による口腔レンサ球菌に対する抗菌効果を明らかにした。
この研究は、東北大学大学院歯学研究科口腔生化学分野の髙橋信博教授、鷲尾純平講師、安彦友希助教、四川大学大学院生Han Sili 歯科医師によるもの。研究成果は、Caries Research に掲載された。
今回の結果により、緑茶含有濃度と同等濃度のEGCGが、う蝕関連菌を死滅はさせないものの、う蝕の直接の原因となる酸産生を抑制することが示された。
緑茶に含まれる抗菌成分として、4種類のカテキンが知られている。
その中で最も多く含まれるエピガロカテキンガレート(EGCG)は、特に抗菌作用が強く、う蝕関連菌を抑制する可能性が示されていた。
しかし、EGCGの抗菌メカニズムは明らかにされていなかった。
研究者らは、口腔内において代表的なう蝕関連菌である Streptococcus mutans(S.mutans)を用いて、以下の5つに対するEGCCの抗菌効果を検討した。
・殺菌効果
・細菌の増殖に対する抑制効果
・細菌の糖からの酸産生活性に対する抑制効果
・細菌の糖取り込み系酵素活性(ホスホエノールピルビン酸依存性ホスホトランスフェラーゼシステム活性、PEP-PTS 活性)に対する阻害効果
・細菌に対する凝集効果
この結果、緑茶に含まれる濃度と同等のEGCG(1mg/ml)は、S.mutans に対しての殺菌効果はなかったが、迅速な凝集を引き起こした。
また、う蝕病原性として重要な糖からの酸産生活性とPEP-PTS活性に対しては増殖を抑制し、EGCGの抗菌作用のメカニズムが推測された。
加えて、EGCGによる抑制と凝集は、S.sanguinis、S.gordonii および S.salivarius でも確認された。このEGCGによる細菌の凝集促進は、細菌が歯面に付着する前に凝集塊を形成し、細菌の歯面付着を抑制すると考察された。
本研究により、緑茶に含まれる濃度のEGCGには殺菌効果はないものの、細菌増殖の阻害や糖酸産生活性の抑制、細菌凝集の促進効果が明らかになった。
それらに加えて、EGCG自体にpH緩衝能とpH低下を防ぐ力があることも明らかになった。また、これらの抗菌効果は唾液の存在下でも持続することが判明した。
これらの抗菌作用は、ミュータンスレンサ球菌以外のう蝕関連菌にも作用したことから、緑茶カテキンによる口腔バイオフィルム全体のう蝕抑制につながることが期待される。
研究者らは、緑茶に含まれる程度の濃度で殺菌効果がないことは、過度に口腔常在菌を除去することなく、う蝕原性の低減化が可能であり、近い将来、う蝕予防の効果的ツールとして開発されることを期待すると述べている。
今回の研究により、日本を代表する緑茶が、う蝕予防に効果的で、かつ長期的に頻回しても安全な飲料であることが示された。
以上のことから、緑茶は適度な抗菌作用を持つスーパー飲料であるということが証明されたのでした。
古くから日本人に馴染みのある緑茶にそんなすごい力があるなんて驚きですよね。
お茶と言えば私の高校時代の友人が現在、平等院鳳凰堂の茶房『藤花』にて茶房長を務めており、当院の内覧会の時にはお手伝いをお願いしていただきました。当院を訪れてくださった方々に美味しい抹茶を振舞っていただき、皆様に大変喜んでいただきました。
そして『藤花』の茶房長を務めている尾上宗西氏が12月25日に京都にある岡崎公園で開催される「おいしい旅のマーケット」にイベント参加するとのことです。当院でも活用されたプラスチック段ボール製の茶室にて茶室体験ができるとのことです。
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